シェフ・生産者

五氣里 シェフ
木村 藍
AI KIMURA

自然と共にあることを胸に刻み、
里山や海の恵みを分かち合う。
それが五氣里の目指す、
ローカル・ガストロノミー。

猟師と山を歩くことで知る、躍動する動物の習性や樹木の役割。森の奥深くまで入り込み、野生動物の足跡を追いながら、その生態を詳しく観察する。四季折々の植物がどのように成長し、互いに共存しているのかを学ぶことができる。

この土地は、山々からの腐葉土が川に流れ込み、夷隅川独特の蛇行した形状によって多様性に富む生態系が生まれた。川船に同乗して体験する竹筒漁での天然鰻、投網漁でのコノシロは、獲れた時がオンメニューの日となる。

自然豊かな山川を源流とした稲作は、粘土質を含む土壌の良さもあり、化学肥料や農薬に頼らないいすみ米を産み出した。田植えの時に、微生物の力で足の裏にじんわり感じた地熱を思いながら、米料理に活かしていきたい。

栄養豊富な水が海へ流れ出ると、カジメやワカメが育ち、これらを食べるアワビやサザエ、さらにいすみが誇る漁場「器械根」では伊勢海老や真蛸をはじめ、黒潮と親潮が交わる恵みによって多様な魚が獲れる。 漁師の仕事を間近で見ると、まさに「板下一枚、下は地獄」。命懸けで獲っていただいた食材にはいつも背筋が伸びる。

その漁師の網仕事を手伝う農家があって、海藻を肥料にした有機栽培野菜ができるまでを目にすると、まさに山から川、そして海からまた大地へと全てが繋がり循環しているのだと、自然の恵みに心が突き動かされる思いがする。

今ではサステナブルという言葉になり改めて注目されてきているが、この地では遥か昔から紡がれてきた、美しい営み。

「食」を通して、地域、風土、生産者、環境に目を向けてもらうこと。私は「美味しい」の先にある、心と身体の充足、人々の命が自然の循環の中にあることを、五氣里の厨房から表現していきたいと考えています。

それを教えてくれたすべての生産者の方々に、尊敬と感謝を込めて…。

五氣里 シェフ
木村 藍 AI KIMURA

千葉県いすみ市出身、東京女子大卒。金融業界を経験後、「ル・コルドンブルー東京校」で料理を学ぶ。「ランス・ヤナギダテ」「ラール・エ・ラ・マニエール」「ゴードン・ラムゼイ at コンラッド東京」等、数々の名店で修業し、2012年「シュヴァル・ドゥ・ヒョータン」を開業。2022年いすみ大使に就任。2023年農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」ブロンズ賞受賞。2024年より「五氣里」シェフとして地元いすみ市の魅力を引き出す料理を提供している。

生産者について

五氣里では、いすみの自然に根ざして生産活動に従事する方々から直接食材をご提供いただいています。こちらでその生産者のみなさんを紹介します。

海産物

  • 拓永丸

    大原漁港で代々漁師を営む中村一家。彼らが捕る魚は神経締めで処理され、寝かせることで最高の味を引き出す。自然と対峙すること、その恵みをいただくことの最前線にいる彼らから教わることは多い。

  • 第一宮内丸

    伊勢海老や鰆のほか、岩船漁港ならではの素潜りでの鮑漁や、ワカメ、天草、はば海苔の採取も行う。

  • 裕大丸

    都内での仕事からUターンし、漁師を始めた吉田氏。地元に根ざした繋がりと独自の感覚で、颯爽と海仕事をこなす。

  • 有限会社丸大水産

    伊勢海老の漁獲量日本一を誇る大原で、先々代が掘った天然洞窟生簀を構える。気温を一定に保つ洞窟内で活け越しされた伊勢海老、さざえのほか、あわび、はまぐりも一級品が揃う。

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農産物

  • farmあき

    少量多品目で数多くの露地野菜やハーブ、エディブルフラワーなど、種の選定からこだわったオーガニック育成。ノビルやヨモギなど土手菜にも精通。畑仕事前の早朝、海老網掃除の手伝いが日課。いただいた海藻を畑に撒いて肥料としている。

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  • R工房

    すべての農作物を無農薬、無肥料の自然栽培にこだわり、自給自足生活40年の御夫婦が経営する工房&農場。毎週使う分だけの小麦をその場で挽いてもらい、焼きたてパンとして五氣里レストランにて提供。木製食器の一部もR工房の作品。

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  • つるかめ農園

    全国的にも珍しい自然栽培の稲作農家。農薬や肥料に頼らず、土、太陽、水、空気、微生物のみで育つお米を通して、自然の調和と循環の素晴らしさを表現している。

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  • farmyardいしの

    極限まで水分を減らし、トマトの力を最大限に引き出す栽培方法にこだわる。今にも弾けそうな皮は頬張るとパリッと音を立て、果肉は酸味と甘味のバランスが秀逸でジューシー。

  • 棚原さん

    耕作放棄地の畑を甦らせ、いすみ地域の自然栽培の父とも言える存在。無農薬はもちろん、動物性の堆肥を使わず土を育て、太陽と月と大地のみで育てた野菜は、細胞に沁み入るようで心と身体を健やかにしてくれる。

  • はちべえ農園

    やよい姫、紅ほっぺ、章姫など、朝採れ苺は数日たっても良い香りが薄れない絶品。

  • 五平山農園

    初夏は農薬不使用のブルーベリー、初秋は木の上で完熟させる無花果が待ち遠しい。

  • 苗目name

    里山の再生、動植物の多様性を復活させ、豊かな自然を守ることを軸に、鴨川に根ざす農家。 個性的なエディブルフラワーやハーブも魅力。

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  • AMBESSA&Co

    “PURE, NATURAL & SUSTAINABLE”を合い言葉に、オーガニック栽培、添加物や保存料不使用のドライフルーツやナッツなどを取り扱う。オーナーの君島氏は南房総市にセルフビルドの店舗を構え、自らも自給自足に近い生活を送る。

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酪農・畜産・ジビエ

  • 高秀牧場

    牛の排泄物から堆肥を作り、近隣の農地に還元、そこで牛の餌となる牧草や作物を育てる「循環型酪農」に長く取り組んできた、いすみ地域の酪農の中心的存在。牧場内で作られるチーズやジェラートも絶品。

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  • ちばジビエの森

    房総ならではのジビエであるキョンのほか、猪、鹿、アナグマ、鳥類などの狩猟から解体までを担うハンターであり、樹木や山菜、茸にも精通する山のプロフェッショナル。

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  • チーズ工房IKAGAWA

    日本では希少な、ジャージー牛を完全放牧、牧草100%で飼育。毎朝、家族7人での青草刈りから始まり、一頭ずつ手搾りしながら、家族同様の「牛さん」たちとの対話の時間を大切にする。

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  • チーズ工房【千】sen

    日本独自の乳酸菌と酵母で作り出す柴田千代氏のチーズは、国内外で数々の賞を受賞。地域活性や食育のイベントも精力的に主催している。

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  • 竹島英俊氏のモッツァレラチーズ

    木更津市のオーガニックファーム「クルックフィールズ」で、国産の水牛モッツァレラチーズ作りに魂を注ぐチーズ職人・竹島英俊の傑作。その完成度の高さは料理人をも驚かせる。

塩・酒・その他

  • 勝浦塩製作研究所

    鵜原理想郷で新月と満月の満潮時の海水を使い、昔ながらの平釜式製法で塩を作る。重力の働きと勝浦独特の地形により、新月と満月それぞれの特徴を持った塩ができ、地元食材の美味しさをさらに引き立てる。

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  • 木戸泉酒造

    「自然醸造による旨き良き酒造り」を代々追求し、天然の乳酸菌を用いた伝統の「高温山廃酛」で60年以上も仕込みを守り続けている。添加物や農薬、化学肥料を一切使用しない日本酒「自然舞」は、酒蔵を象徴するお酒。

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  • mitosaya

    地域の自然からの産物を、規模の大小を問わず発見発掘し、発酵蒸留の技術を通して洗練されたプロダクトとして世に出す蒸溜所。

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  • ピア宮敷

    障害者支援施設などの社会福祉法人。高秀牧場での菜花栽培や、梨農家、お米農家等との農福連携を実践。

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